Facebook広告は上手くいく場合もあれば、ガッカリするほど成果が出ないことがあります。
上手く行かない時には、広告を改善するために多くの時間がかかってしまうことも少なくありません。
気がつくと広告のレポート画面のチェックに多大な時間をかけてしまったという事もあります。
ですから、Facebook広告のチェックと改善をいかに効率的に行うか?というのは、当社の課題です。
今回は、当社での改善ノウハウと似た点を解説したいたadespressoの記事にも触れながら当社の改善方法について解説したいと思います。
目次
1:問題の原因を突き止める
当社でFacebook広告を運用・改善する場合、それぞれの広告が「現状どのような状況なのか?」を数字で判断して、何が問題になっているのかを切り分けて対策を施します。
1-1:当社の事例
例えば、以前クライアントから
「ここ数日、無料登録者の人数は変わらないけど、セミナー申込者が0が数日続いている。全体的には、5%の成約率だから、5~6名の申込みがあっても良いはずなのに・・・。何が問題でしょうか?」
という質問を受けました。
広告のクリック率や無料登録者の獲得コストは変わらないが、有料商品への申込みがピタッと止まったわけです。
分析した結果、「次回のセミナー開催日までの間隔が開いたために申し込みへの緊急性が弱まった」可能性が高い事がわかりました。さらに深く調べた結果、その根拠となるデータも見つかったのです。
もし、問題の原因をしっかりと調べずに、「では、セミナーページを改善しましょう。」という対策をした場合、本来必要な対策以上に時間とコストのかかる対策を行ってしまうことになります。
問題を解決できないばかりか、かえって成約率を下げてしまう可能性もありました。
ですから、「何が問題なのか?」を可能な限り切り分けて対策することが効率的なFacebook広告運用には欠かせません。
この考え方は、当たり前の事として、特に意識せず行っていました。
ただ、似たような事を前述のadespressoの記事では、「問題解決型アプローチ:(PSA)」という経営コンサルティングファームのマッキンゼーで体系化された思考法に基づく改善メソッドを解説していたので、その点に触れながら説明したいと思います。
1-2:問題解決型アプローチ:(PSA)
Facebook広告を効率的に改善していくには、場当たり的に知っている改善法を試すのではなく、「何が問題か?」を見極めて状況に適した改善策を講じる必要があります。
その改善法を理論的に説明すると「『問題解決型アプローチ:(PSA)』の考え方を意識して改善しましょう。」となります。
『問題解決型アプローチ:(PSA)』というのは、解決策ありきで考えるのではなく、問題点を見極めて、問題に適した解決策を講じる問題解決手法です。
何が問題なのか?それをしっかり把握して初めて、本当の解決策(ソリューション)が生まれてくるという考え方です。
図にするとこんな感じです。
この問題解決型のアプローチはProblem-Solving Approach(PSA)と呼ばれ、多くの経営者が経営課題を解決するために用いる手法です。(大前研一さんのコンサルノウハウが基となっているようですね。)
Facebook広告は、実際に様々な会社のアカウントを運用していると分かるのですが、ブラックボックスな部分が多く、正直なところ根本原因を特定するのは簡単ではありません。
理屈どおりに動かない事がよくあります。
とは言え、Facebook広告運用を続けていると、幾つかの簡単なパターンを見つけることが出来ます。
1-3:問題解決のパターンが見えてくる
例えば、このような問題解決のパターンがあります。
クリック単価(CPC)が上がってきた。クリック率(CTR)が下がってきた。
という現象が起きた際に、フリークエンシーが2.5~3以上になっていた場合、広告の成果が落ちた原因は「ユーザーが広告に対して慣れてしまった(または、飽きてしまった。)」事です。
フリークエンシーが原因の場合は、広告画像を変更するなどの対策により改善することが可能です。
詳細はこちらの記事で説明しています。
参考:Facebook広告のクリック単価(CPC)を低くするための6つの方法
このような問題解決パターンをどんどん発見してゆけば、新しい広告をスタートさせて収益が伸び悩むたびに一からあれこれ考える必要がなくなります。パターンさえ見分ければ短時間で解決することができ、スピードアップを図れます。
今回はそうしたわかりやすい問題解決のパターンをご紹介したいと思います。
とくに、adespressoの記事によると、当社で設定している基準と異なっている部分が多かったので、両者を比較してご紹介します。
2:2つのポイントで問題を切り分ける
解説する前に、前提条件をお伝えします。
それは、当社では、コンバージョン(無料登録や商品購入など)を目的とした広告のみを実施していることです。
つまり、Facebookページの「いいね」を増やす広告などは行っていません。
ですから、当社の場合、Facebook広告の成果を左右する上で重要なポイントは大きく2つに絞られます。
1つ目は、クリック単価を落とすこと。(言い換えると、クリック率(CTR)を高めること。)
2つ目は、コンバージョン率を高めることです。
ですから、現状の広告を
・クリック単価(クリック率)
・コンバージョン率
の2つのポイントでチェックし「何が問題になっているか」を切り分けます。
2つのチェックポイントだけで判断するので、短期間で効果的な対策を立てることが出来るようになります。
3:基準値、目標値を設定する
そうなると、問題になるのが「何を基準に優劣を判断するのか?」という点です。
つまり、基準となる数値を知っていく必要があります。
ということで、まずは基準値について確認していきましょう。
3-1:理想的な目標値(基準値)を把握する。当社の基準値
問題を切り分けする上で、重要なのが基準となる数値を知っておくことです。
当社で設定している基準値は以下のとおりです。
クリック単価:40円~150円(「Instagram広告とオーディエンスネットワーク広告」は含まない)
コンバージョン率:15~20%
理想的な数値として考えると
クリック単価:30円(~70円)
コンバージョン率:30%
という感じです。
3-2:海外の事例における理想的な目標値(基準値)
前述のadespressoの記事では、理論上の理想的な目標値について説明されていました。
3-2-1:コンバージョン率:50%
根拠となっているのは、Persuasion Revolutionを書いたBushra Azharがウェビナーの中で、無料登録ページで50%のコンバージョン率を獲得できたと説明していた事です。
たしかに、一時的に50%のコンバージョン率を獲得することは当社でもあるのですが、継続的に運用するとコンバージョン率は落ちる事がよくあります。
また、成果が良いので数を増やそうと広告の種類を増やすとコンバージョン率は落ちることがよくあります。
上記のコンバージョン率50%というのは、根拠がちょっと弱いと思いますが、理想を追求するという意味で目標値を50%に設定する事を否定はしません。
3-2-2:クリック率(CTR):8%
根拠となっているのは、上記のPersuasion Revolutionに似たようなキャンペーンを今度はadespresso.comで実施した際にクリック率(CTR)の最高値が8%だったというブログ記事内での言及です。
私が「理論上の理想的な目標値」と述べたのは、これらの2つの指標は、1つの案件で実際に獲得した数値ではなく、別々のキャンペーンの最高値を並べたに過ぎない点です。
・Persuasion Revolutionにて、コンバージョン率が50%だった。
・同類の別のサイトのキャンペーンでクリック率が8%だった
だから、理論上の理想値として、
コンバージョン率50%
クリック率8%
を目標に出来るという論理展開です。
まぁ、あくまでも理想値として設定するだけなので、あまり細かいツッコミは意味はないですが。
*ちなみに、ここでいうCTRは、Facebook指標における「CTR(リンク)」の事を指します。
つまり、外部リンクへのクリック率です。
「いいね」のクリックなども含まれる「CTR(すべて)」ではありません。
3-2-3:クリック単価ではなく、クリック率を指標にする意味
当社では、クリック単価を指標にしていますが、adespressoの記事ではクリック率(CTR)を指標にしています。
adespressoがクリック率(CTR)を指標にしているのは、おそらく自社で改善できる指標だからという理由だと思います。
クリック単価は、競合の入札状況によって左右される要素なので、より純粋に自社の改善の成果につながるクリック率(CTR)を指標にしているのでしょう。
一方で、当社は「結果的にクリック単価が低ければ良いよね。」という結果よければ全て良しというアプローチです。というのも、上手くいっている広告を下手にいじってパフォーマンスを落とした経験があったので、最終結果が良ければ、あまりいじらないようにしています。
また、クリック率が低くてもクリック単価がそこまで変わらない広告もあるので、この記事を書いている時点では、総合的な結果を重視するスタンスを取っています。
(もちろん、研究の結果によっては、スタンスも変更します。)
下図は、当社が運用している広告のレポート画面です。
両者とも広告画像や広告文は全く同じ広告です。オーディエンスが少しだけ異なります。
広告Aと広告Bでは、クリック率「CTR(リンク)」が3%も差があるにもかかわらず、クリック単価「CPC(リンク)」はたった3円しか違いがありません。
Bの広告画像や広告文を変更したからと言って、CTR(リンク)やCPC(リンク)が大きく改善するかどうかも判別つきにくいのが実情です。
そういった経験から、当社では「クリック単価「CPC:リンク)」が十分低ければ、OKにするという基準で運用しています。
4:4つのパターンに分類して改善策を考える
4-1:パターン1「クリック単価が低く、コンバージョン率が高い」
パターン1は、前述の理想的な状態です。
クリック単価が低く、コンバージョン率は高いケースです。
この状態であれば、特に対策はありません。
4-2:パターン2「クリック単価が高く、コンバージョン率が低い」
パターン2は、クリック単価もコンバージョン率も成果が悪いケースです。
クリック単価:300円以上(Instagram広告とオーディエンスネットワークを除く)
コンバージョン率:10%未満
一点注意が必要な事があります。
上記の指標は「Instagram広告とオーディエンスネットワーク広告」を除外して純粋にFacebook広告のみに限定した場合の指標です。
Instagram広告とオーディエンスネットワーク広告は、クリック単価だけを見るとかなり低く押させることが出来るのですが、当社がサポートしている顧客層の場合、コンバージョンに繋がりにくいので除外しています。
ですので、facebook広告のモバイル、デスクトップ、デスクトップの右側広告の3種類に限定した指標です。
クリック単価は、他のユーザーの広告入札状況も関係するので、ターゲットとする顧客層によって大きく変化します。当社がサポートしている顧客層は、BtoBやビジネス系が多くを占めます。
当該業界に関しては、ここ1~2年でクリック単価が非常に高騰している関係で、CPC(リンク)が200円近くなることはよくあります。
収益性の高いビジネスであれば、CPCが200円台でも十分儲かるので、継続する場合もあります。
200円台でも運用している案件が実際にあるので、300円以上としました。
(とはいえ、できれば100円を切るCPC(リンク)を狙いたいところです。)
パターン1のように、クリック単価もコンバージョン率も悪い場合は、以下の手順で改善します。
1:ターゲットとするオーディエンスを変更する
2:オファーする広告の内容、切り口を変更する
クリック単価もコンバージョン率も悪い場合は、広告を配信している対象がマッチしていない可能性が高いです。ターゲットにしているオーディエンスが広告とマッチしていないわけですから、ターゲティング設定がうまくいっていないと考えられます。
ですから、正しいオーディエンスに到達するようにターゲティングオプションの設定を変えてみましょう
オーディエンスを変更するだけで問題が解決するというケースは非常に多く経験しています。
Facebook広告の管理画面上で設定を変えるだけなので、修正にそれほど労力を必要としません。
オーディエンスを変更しても難しい場合は、広告の内容、コンセプト自体が魅力的ではない可能性があります。
広告する内容、コンセプトを見直す事で広告の改善につながります。
コンセプトの見直しは当社も得意ですが、変更内容によっては様々な修正が必要になります。
ですので、あくまでもターゲットの変更を試した後で実施するようにしましょう。
4-3:パターン3「クリック単価が高く、コンバージョン率は高い」
パターン3は、クリック単価は悪い(高い)ものの、コンバージョン率は良い(高い)ケースです。
クリック単価:300円以上(Instagram広告とオーディエンスネットワークを除く)
コンバージョン率:15%以上
コンバージョン率は悪くないのに、クリックする人が少ない場合は、オーディエンス設定は大きく間違っていないと言えます。
問題は、広告に魅力がないということです。
広告の魅力を高めるうえで重要な要素は画像です。画像を変更することでクリック率に大きな影響を与えるので、新しい画像を試してみましょう。
さらに、新しい広告文も試してみましょう。
4-4:パターン4「クリック単価が低く、コンバージョン率は低い」
パターン4は、クリック単価は良い(低い)ものの、コンバージョン率は悪い(低い)ケースです。
クリック単価:100円以下(Instagram広告とオーディエンスネットワークを除く)
コンバージョン率:10%未満
クリック単価が低く、クリック率も3%以上の高い結果がでている場合は、正しいオーディエンスに広告が提示されており、ユーザーは広告に興味を示していることになります。
ただし、ランディングページで登録する程の動機づけが無いことがわかります。
この場合の原因は、ランディングページにあります。
- オファー(無料プレゼント等)
- キャッチコピー
- ページの構成
などに魅力がかけている可能性が高いです。
対策は、オファーを魅力的な内容に変更する。あるいは、ランディングページの改良です。
5:対策をパターン化する
これら基本の4パターンは、数値から問題点をきちんと特定したからこそ、解決策が出せたものです。
問題点が分かれば、解決策を自動的に導き出せるようにパターン化させる非常にスピーディな問題解決法です。
この基本の4パターンを参考に、自分なりのパターンを作ってみてください。
わかりやすいようにCTR、CTVなどのチェック項目を入れたパターン表を作っておけば、その後の最適化に大いに役立つでしょう。
■覚えておこう!
・自分の広告で浮かび上がる様々なパターンを記録しておく
・特定のパターン兆候が見られたら、何をして解決するかをはっきりさせ仕組み化させておく
・収益が上がらない時、まずは問題を特定する。その後、解決策を考える。